ほんわか絵本~バスも列車もめっきり減ってしまった日本のための「エイモスさんがバスに乗りおくれると」
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エイモスさんがバスに乗りおくれると
エリン・E・ステッド絵
フィリップ・C・ステッド文
青山南 訳
2021年11月30日第一刷発行 光村教育図書
絵と文の作者が夫婦ならではの息の合った作品。問いかけるタイトルが好奇心を煽り、繊細な絵から視線を外すことができません。
コロナ後の世界を彩るにふさわしく、ワクワクほのぼの感に包まれます。
たっぷりの白地にワンポイントのような色彩が、繊細な輪郭線に包まれて物語をやさしく進めます。
エイモスさんんの表情、
ゾウやサイのやさしく長いまつ毛、
ペンギンやカメの役割、
静かに当たり前に補い合う動物たち。
時間の過ごし方について、深く考えさせられる絵本です。
「エイモスさんがバスに乗りおくれると」のストーリー
エイモスさんの仕事は動物園の飼育係。
今日は大事な遠足の日。
なのに……
バスに乗り遅れてしまいました。
あとは読んでのお愉しみ!
エイモスさんのようになるかわからない現実
もし自分がバスに乗り遅れたら、
出勤時間に間に合わなかったら……、
仲間が協力し合い、それなりには仕事を回転させることでしょう。
けれども、上司や同僚に皮肉のひとつでも言われる可能性もあります。
ひょっとしたら、陰湿な悪戯をする人もいるかもしれません。
それ以前に、自分の中に申し訳ない気持ちが残って、休憩時間や終業後も居残りサービス残業をしてしまいそうです。
自分の中に流れる日本人の血は、バスやJRの廃線が続き増税で痛めつけられても自己犠牲の精神を失わない、何てお人よしの民族なのでしょう。
必要以上に媚びる必要はないはずなのに……。
けれども、遅れたことを悪いと思った私の気持ちを同僚は見ています。
そして、ねぎらいの言葉をかけてくれるかもしれません。
あまり遅くなるようだったら、やはり手伝ってくれるのでしょう。
エイモスさんが乗りおくれたことこそ真実かも……
テレビのニュースを観ながら、いつも何かの心配をしているような気がします。
そして飽きたらチャンネルを変えて笑い転げています。
笑うことに飽きたら、またチャンネルを戻すのでしょう。
そんなものかも知れません……。
テレビを観ながら一喜一憂している私たちは、本当の現実を生きているのでしょうか……
エイモスさんのような、日常の些細なトラブルにこそ、真実があるような気がします。
真実といえば、こんな絵本も……
作者の紹介
作/フィリップ・C・ステッド
アメリカの絵本作家。妻のエリンと共にニューヨークとミシガン州ノアナガンを行ったり来たりしている。「さらわれたオレオマーガリン王子」「エイモスさんがかぜをひくと」
絵/エリン・E・ステッド
アメリカの絵本作家。フィリップの妻。木版画と鉛筆、彫刻刀などを駆使し特徴的なイラストを描く。「エイモスさんがかぜをひくと」でコルデコット賞を受賞。
フィリップ・C・ステッドとエリン・E・ステッドの本はこちらから
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